【NQNニューヨーク=岩切清司】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落した。終値は前日比33ドル80セント(0.2%)安の1万8086ドル45セントだった。原油安を背景に石油株が売られた。週末を控えて利益を確定する売りも相場の重荷となった。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は過去最高値を更新した。
需給への不安がくすぶるニューヨーク原油先物相場は一時、約3カ月ぶり安値まで下げて節目の1バレル50ドルに迫った。株式市場ではシェブロンやエクソンモービルなどの石油株が売られ、ダウ平均を押し下げた。
もっとも、ナスダック指数は続伸し、同46.959ポイント(0.9%)高の5210.143と連日で過去最高を上回った。グーグルが前日発表した4~6月期決算は市場予想を上回り「弱気派の主張を退ける内容だった」(ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル)と評価された。
アナリストが相次いで目標株価を引き上げたこともあり、普通株で議決権のあるグーグルのA株は16%高で取引を終了。2014年4月に2種類の株式に分割して以降で最高値を更新し、ナスダック指数を押し上げた。
ハイテク株の上昇が投資家心理を支えたため、ダウ平均も取引終了にかけ下げ幅を縮めた。
6月の米住宅着工件数は前月比での増加率が市場予想を上回って伸びた。住宅市場の改善が加速し、市場では「9月の利上げへ一歩近づいた」(CIBCワールド・マーケッツ)との指摘があった。
6月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想並みの伸びとなり、物価の戻り歩調を改めて確認したと受け止められた。7月の消費者態度指数は市場予想に反して前月から低下したものの、市場の反応は限定的だった。
業種別S&P500種株価指数(全10業種)は「エネルギー」や「公益事業」など業種が下落した。一方「IT(情報技術)」と「資本財・サービス」が上げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億7000万株(速報値)、ナスダック市場は約17億9000万株(同)。
ゼネラル・エレクトリック(GE)は四半期決算で利益が市場予想を上回り買われた。機械のハネウェル・インターナショナルは業績見通しの上方修正を材料に上昇。電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズも高い。取引時間中に開催した説明会で、バッテリー性能を向上させたセダン型EV「モデルS」の発売を発表したことが買いを誘う手掛かりとなった。手作り品などを売買できるオンラインストアを運営するエッツィーは31%も上げた。
半面、空中輸送機に関する費用計上を発表したボーイングが安い。インテルや医療品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンも売られた。