【フランクフルト=加藤貴行】独フォルクスワーゲン(VW)が17日発表した2015年1~6月の世界販売台数(顧客引き渡しベース)は、前年同期比0.5%減の504万台だった。VWが強い中国や南米など新興市場の低迷が響いた。03年から年間販売のプラスを続けてきたが、この状況が続けば通年でも前年割れの可能性が出てきた。15年通年のトヨタ自動車を抜いての世界首位浮上にも暗雲が広がる。
地域別では、VWにとって最大市場の中国が4%減の174万台に落ち込んだ。量販車が多いVWブランド乗用車の減少傾向に歯止めがかからず、アウディ、ポルシェなどの高級車では支えられない。
また他の新興市場も不振が目立つ。ブラジルの景気低迷が長引いており、南米が23%減の30万台。中東欧は12%減の30万台で、ロシア販売が4割減ったのが響いた。
一方、金融危機の影響から脱した欧州では4%増の278万台。傘下の高級車から大衆車まで各ブランドとも伸ばした。北米は高級車が好調で6%増の45万台だった。
VWの月次の世界販売は今年4月、2009年12月以来の前年同月実績割れとなった。これで6月まで3カ月連続のマイナス。中国、ブラジルなど市場の早期回復が見込みにくいなか、年後半も厳しい状況が続く可能性が高い。