16日午後９時30分ごろ、東京都豊島区のＪＲ池袋駅近くで、乗用車が歩道に乗り上げてビルに突っ込んだ。警視庁池袋署によると、歩行中の25～71歳の男女５人がはねられ、このうち薬剤師の江幡淑子さん（41）＝板橋区＝が頭などを強く打ち間もなく死亡した。残る４人も腰の骨を折るなど重軽傷を負ったが、命に別条はないという。

同署は乗用車を運転していた医師、金子庄一郎容疑者（53）＝北区王子＝を自動車運転処罰法違反（過失傷害）の疑いで現行犯逮捕した。

同署によると、金子容疑者は「歩道に突っ込んだ記憶がない。疲れて居眠りをして記憶がないのかもしれない」と供述しているという。呼気からアルコールは検出されず、薬物の影響もないとみられる。同署は同法違反の過失致死傷容疑に切り替え、事故の経緯を調べている。

乗用車は現場近くの地下駐車場から地上の道路に出ていったん停止。そのまま約50メートル走行して歩道に乗り上げ、豊島区東池袋１のビル１階にある衣料品販売店「ＺＡＲＡ」に突っ込んだ。店は当時営業時間外で客はいなかった。現場にブレーキ痕はなかった。

金子容疑者は16日午後１時ごろ北区の自宅を１人で出て、横浜市鶴見区の寺で墓参りをした。その後、池袋を訪れ、事故直前には池袋駅近くでラーメンを食べたという。

現場は池袋駅東口近くの家電量販店などが立ち並ぶ繁華街。同駅付近では2014年６月にも危険ドラッグを使用した男が車で歩道を暴走し、７人を死傷させた事故があった。