若者の間でインターネットを利用した副業を巡るトラブルが広がっている。会員制交流サイト(SNS)で知り合った知人から「簡単に稼げる」「会員を増やせば報酬がどんどん上がる」などと誘われ、高額な契約金を支払う被害が増えている。国民生活センターは「誘い文句の通りにもうかることはまずない。身近な人でも、できすぎた話には乗らないで」と注意を呼びかけている。
同センターによると、ネットの副業トラブルでは「アフィリエイト」と「ドロップシッピング」の2つを巡る相談が目立っている。
アフィリエイトは個人が自身のブログなどに業者のサイトに誘導する広告を掲示し、客が商品を買うと報酬が入る。ドロップシッピングは個人が業者と契約してネット上に店舗を開設。注文が入れば業者が商品を卸し、卸値と販売価格の差額が開設者の収益になる。
ともにネットを使った手軽な副業として広がったが、業者の説明通りにもうからず、損失を被るケースが増え、2005年ごろから相談が全国の消費生活センターに寄せられ始めた。
相談件数はリーマン・ショック後の厳しい経済情勢の中で、副業に関心が集まった10年度に最多の1530件に上った。11~13年度は800件台に減ったが、14年度には過去3番目に多い1175件に増えた。国民生活センターは「経済環境が好転したことで気軽に稼げると考え、手を出す人がいる」と分析する。
相談を年代別にみると20代の割合は約40%で、10年度に比べて約2倍に増えた。30代も約2割いた。「フェイスブック」や「LINE」などのSNSで知り合った友人や知人から誘われ、トラブルに巻き込まれる若者が増えているのが最近の特徴だ。
相談の中で、「会員を増やせば報酬が増える」といったマルチ商法まがいの勧誘に関するものは10~13年度は63~119件だったが、14年度は307件に増えた。「顔見知りからの誘いだけに、断りきれず契約してしまい、自身も友人や知人を勧誘することで被害を広げてしまうケースもある」(同センター)
兵庫県の20代の男子学生は、高校時代の友人に「もうけ話がある」とアフィリエイトに誘われ、消費者金融で借り入れた50万円を含む75万円を支払い仲介業者と契約。「誰かを勧誘すれば10万円の報酬をもらえる」との説明を受け、知人の学生3人を誘い、うち2人にも契約させたという。
契約金額の平均は約41万円と高額で、消費者金融から借りた人もいた。同センターは「簡単に稼げるもうけ話には乗らないことはもちろん、自らも勧誘側となり悪質な行為に加担するようなことにならないよう気をつけてほしい」と話している。