5日午後10時15分ごろ、秋田県鹿角市の「道の駅かづの」の駐車場に止めたタクシーの近くに、運転手の男性が血だらけで倒れているのを通行人が見つけ110番した。腹部に複数の刺し傷があり、搬送先の病院で死亡が確認された。
県警鹿角署捜査本部は6日夜、強盗殺人容疑で鹿角市花輪上頭無、清掃関連のパート従業員、東屋仁容疑者(55)を逮捕した。
逮捕容疑は、5日午後9時10分ごろ、乗車したタクシーの運転手、田中義次さん(66)=鹿角市花輪用野目太田=を、金品を奪い取る目的で殺害した疑い。東屋容疑者は刺したことは認めているが、強盗についてはあいまいな供述をしているという。
田中さんの死因は頭部挫滅。タクシーの車内には血痕があり、県警は東屋容疑者が田中さんを刺した後、現場付近に止めていた車でひいたとみている。
関係者によると、車内に搭載されている防犯カメラに、マスク姿の男が「金を出せ」と言って刃物を突き付け、襲う様子が映っていた。県警は映像の記録などから、犯行は5日午後9時10分ごろとみて捜査していた。
タクシー会社や従業員によると、5日午後9時ごろ、鹿角市花輪上中島のスーパーに設置した無料の直通電話から、男の声で営業所に「配車してほしい」と連絡があった。近くのJR花輪線鹿角花輪駅に待機していた田中さんがスーパーに向かい、田中さんは9時1分すぎに無線で「道の駅経由で鹿角市花輪荒屋敷に向かう」と連絡した。
県警によると、タクシーはエンジンがかかり、助手席側の後部座席のドアが開いたままの状態だった。田中さんは開いたドアの近くにあおむけで倒れていた。
現場の道の駅は、鹿角花輪駅から南に約1キロ。営業は午後6時までで、夜間常駐する警備員はいない。駐車場には明かりがなく、防犯カメラもないという。〔共同〕