大阪府警は9日、警察官をかたって電話をかけて現金をだまし取る詐欺事件に絡み、指定暴力団山口組を離脱した新組織の最大勢力、山健組(神戸市)の事務所など数カ所を詐欺容疑で家宅捜索した。山口組の分裂後、離脱した団体への大規模な捜索は初めて。
山口組の分裂を巡り、警察当局は山口組や新組織の動向を注視、抗争への警戒を強化している。新組織を暴力団対策法の適用対象団体に指定するには参加した組員の犯罪経歴や組織構成の解明が不可欠で、府警幹部は「違法行為の捜査や監視など情報収集を通じ、一刻も早く新組織の実態を把握したい」としている。
詐欺事件を巡り、府警捜査2課は今年8月までに山健組傘下の暴力団組員らを詐欺容疑で逮捕。捜査の過程で、容疑者ら詐欺グループの立ち回り先として山健組事務所などが浮上した。
9日の家宅捜索は午前10時すぎに始まり、捜査員や機動隊員ら約110人が組事務所など山健組の拠点数カ所の捜索に入った。府警は家宅捜索などで、一連の詐欺事件への山健組の関与の実態を解明する方針とみられる。
捜査関係者によると、山健組は構成員数が約2千人。山口組から分裂した新組織のトップに井上邦雄組長が就任するなど、新組織の中核団体の一つとされている。
新組織には山健組、宅見組(大阪市)、侠友会(兵庫県淡路市)など離脱した13団体の大半が参加したことがすでに判明している。
これらの団体は山口組6代目の篠田建市(通称司忍)組長の出身母体の弘道会(名古屋市)を中心とする現体制への不満を理由に離脱したとみられる。