【ロンドン=共同】明治時代に日本国籍を取得した作家、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が幼少期を過ごしたアイルランドの首都ダブリンで7日、「帰郷」と題する同国初の八雲展が始まった。
没後111年になる八雲は故郷でほとんど知られていない。7日夜、展示の開始式典に出席したひ孫の小泉凡氏(54)=島根県立大短期大学部教授=は電話取材に「(現地では)まだ作家としてきちんと認められていないが、この機会に少しでも多くの方に知ってもらえれば」と期待を込めた。
ダブリン・リトル・ミュージアムで来年1月3日まで展示される。サイモン・オコナー学芸員(40)は「来館者が、その途方もない生涯に触れるだけでなく、多彩で素晴らしい著作を読んだり聴いたりできるよう工夫した」と説明した。
松江市の小泉八雲記念館が所蔵する机やペン、直筆原稿、虫眼鏡など約15点が持ち込まれた。地元紙は、八雲がアイルランドを離れてから約150年ぶりに「ダブリンで正式に認知される」と紹介した。
このほかアイルランド各地で、俳優、佐野史郎さんと、ギタリスト、山本恭司さんが八雲作品の朗読パフォーマンスを行う。研究者による講演も予定されている。
アイルランド人を父に持つ八雲は2歳までギリシャのレフカダ島で過ごし、アイルランドや米国などで暮らした後、1890年から松江や熊本などで生活。日本の怪談や昔話を海外に紹介した。