埼玉大学は5日、さいたま市内のキャンパスに図書館の新棟を開設した。10人程度で使える学習室や映像機材を配備した部屋を設けるなど学生同士が複数で利用し、議論できるスペースを充実させた。2015年のノーベル物理学賞に決まった同大卒の梶田隆章さんの受賞記念展示スペースも期間限定で整備し、祝福ムードを盛り上げる。
新棟「ラーニングコモンズ」は地上3階建てで延べ床面積は約1600平方メートル。事業費約4億円を投じた。既存の図書館に隣接しており通路で往来できる。
新棟は学生同士が議論しながら学べるスペースを充実させた。10人程度で使用できる予約制の学習室を3室整備。パソコンも用意しゼミの発表準備などに活用することを想定する。映像機材やマイクなどを置いた定員30人程度の個室も2室用意したほか、机などを配置したフリースペースでも、机や椅子を自由に動かして利用できるという。
旧棟は従来通り図書スペースとして活用。新棟で学生同士の議論を促す一方、旧棟では静かに学習できる環境を整える。
12月末まで開く1階の梶田さん受賞記念展示では、学生らが製作した梶田さんの研究内容を紹介するパネルを設置。10月末に梶田さんが同大を訪問した際、学生向けに送った直筆の色紙も展示している。色紙には「学部時代は学問への入り口。この時代を大切に」としたためられている。
同大の山口宏樹学長は5日に開いた式典で、梶田さんのメッセージを引き合いに「新たな図書館で学問の入り口を体験し第2、第3の梶田さんが出てくることを期待したい」と語った。