厚生労働省が9日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月に比べ0.5%増えた。3カ月連続のプラスとなった。基本給にあたる所定内給与などが堅調に伸びているためだ。一方、同省が集計した6~8月のボーナスは前年同期より2.8%減って35万6791円だった。
調査は従業員5人以上の事業所が対象。実質賃金がプラスだと賃金が物価上昇を上回るペースで増えていることを示す。
名目賃金にあたる9月の現金給与総額も前年同月より0.6%増え、26万5527円となった。内訳をみると、基本給を示す所定内給与は24万538円(同0.4%増)、残業代を示す所定外給与は1万8997円(同1.4%増)、ボーナスなど特別に支払われた給与は5992円(同14.0%増)だった。
厚労省が特別に集計した6~8月のボーナスを産業別にみると、製造業は前年同期比3.3%減の49万4777円、卸売・小売業では同6.5%減の29万6120円だった。同省はボーナス支給額が正社員より低いパート労働者の比率が前年同期比で約0.8ポイント上昇したのに加え、1月に調査対象の事業所を入れ替えたことなどが影響しているとみている。
大企業中心の経団連の調査によると、会員企業の夏のボーナスは前年比2.81%増えたとしている。厚労省の集計結果にズレがあるのは中小企業への賃上げが浸透していないためとの見方もある。