医療機関の診療報酬請求権を買い取り「レセプト債」と呼ばれる債券を発行し、投資家から資金を集めていたファンド3社と運営会社が9日までに、東京地裁に破産手続き開始を申し立てたことが分かった。3社が発行した債券残高は約227億円に上るといい、投資家が償還を受けられない可能性がある。証券取引等監視委員会はファンド運用に不審点があるとして調査を始めた。
6日付で破産を申し立てたのは、「メディカル・リレーションズ・リミテッド」(東京・新宿)などファンド3社と、ファンドを組成した「オプティファクター」(品川)。メディカル社は同日付で破産手続き開始決定を受け、ほかの2ファンドも財産の保全管理命令を受けた。4社の負債総額は290億円程度とみられる。
関係者によると、オプティ社は2000年、ファンド3社は04~10年に設立。医療機関の診療報酬の請求権を買い取って社債などに証券化し、証券会社7社を通じて投資家に販売した。
会社側の説明では「前経営者が死亡した13年3月以降に3ファンドの財務状況を確認したところ、資産の合計額が債券の発行残高に比べて明らかに少ないことが判明した」という。今後、破産管財人の弁護士が破産会社の残余財産を調査するが、債権者の投資家に配当ができるかどうかは不明としている。
監視委はすでにオプティ社の関係者に聞き取り調査をしたほか、債券を販売した証券会社への検査にも着手した。ファンドの運用実態や資金繰り、投資家の社債購入状況など実態の解明を進めている。
診療報酬債権を巡っては、米国の資産運用会社「MRIインターナショナル」が日本人数千人から不正に出資を募り約1800億円を詐取したとして、米司法省が7月、元社長らを詐欺罪などで起訴している。