日銀が11日発表した10月のマネーストック(通貨供給量)速報によると、代表的な指標の1つである「M3(現金、銀行などの預金)」の月中平均残高は、前年同月比2.9%増の1227兆5000億円だった。定期性預金の減少や貸し出しの伸びが鈍ったことなどが影響し、伸び率は前月から0.2ポイント縮小した。
M3の内訳を見ると、預金通貨は5.1%増で前月(5.3%増)からやや鈍化した。貸し出しの増加ペースが縮小したことに加え、消費税の納付額が増えたこと、年金の支払額の減少などが影響した。一方、現金通貨は6.1%増と前月から0.3ポイント拡大し、マネーストック統計開始以来最高水準だった。行楽シーズンで現金の利用が増えたことや、日用品価格の上昇などが影響した。
M3からゆうちょ銀行などを除いた「M2」は3.6%増だった。M3に投資信託や国債など貨幣に比較的近い金融資産を加えた「広義流動性」は3.9%増だった。いずれも伸び率は前月から小幅に縮小した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕