【ワシントン=河浪武史】オバマ米大統領は10日、環太平洋経済連携協定(TPP)の協定案の公表を受けて米通信社ブルームバーグに寄稿し、「中間所得層のもう一段の前進に、TPPは非常に重要だ」と強調した。米議会では来春以降に実施法案の審議に入るが、与野党ともに反対論が残る。オバマ氏は輸出増による雇用押し上げ効果が大きいとして、議会の早期承認を促した。
オバマ氏はTPPによって大半の商品の関税がゼロに引き下げられ、製造業や農業、畜産業の雇用や収入増に貢献すると主張した。「米自動車産業にとっては、日本のような場所で米国車をもっと見かけるようになる」とも訴えた。
TPPはオバマ大統領の署名を経て、来年春以降に米議会で承認に向けた審議に入る。ただ労働組合の反発で与党・民主党には慎重論があり、多数派の共和党もバイオ医薬品などを巡って「再交渉が必要」と反対論がある。オバマ氏は「全会一致とはいかないが、最終的には米国民は(TPPが)勝利であると判断するだろう」と議会の承認を求めた。