川崎市の有料老人ホームで入所者が相次いで転落死した問題にからみ、系列会社が運営する都内の高齢者施設40カ所で2010年以降、都に報告が必要な事故が714件あったことが13日、都の調査で分かった。うち都に報告があったのは34件だけだった。
都は同日、介護事業大手「メッセージ」(岡山市)と子会社の「積和サポートシステム」(東京・中央)に「情報共有や事故の再発防止策が不十分」として、介護保険法に基づき業務改善勧告をした。
都はメッセージ社と積和サポートシステムが運営する40施設を調査。事故の内訳は「施設外の所在不明」が282件、「骨折や打撲など」が165件、「容体急変の救急搬送」が89件など。入所者を蹴るなどの「虐待」も3件あった。
事故後、入所者が死亡したのは61件(因果関係が不明なものも含む)だったが、都に報告があったのは20件にとどまっていた。
都は勧告で、積和サポートシステムに対し、法令順守規定の見直しや、高齢者虐待防止に関する職員への研修の強化などを求めた。
都は老人ホームの運営指針のなかで、「死亡等の重大な事故」の報告義務を各施設に課している。