【香港=阿部真也】2016年に入って急落した8日までの中国株式相場で、製造業や不動産の株価下落が目立った。製造業は業績悪化が懸念され、上海株式市場では原子力発電設備の上海電気集団が年初から17%安となった。不動産は供給過剰懸念から緑地控股などが下げた。
アジアの主要企業で構成する「Asia300」では、自動車大手の上海汽車が年初から8%下落した。インフラ関連では上海電気集団以外にも、鉄道車両大手の中国中車が14%安となった。
年明けに発表された15年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、改善を見込んでいた市場予想に反して3カ月ぶりの低水準に悪化した。今月中旬から始まる中国企業の15年12月期決算の発表を控え、製造業の業績回復は期待できないとの見方が広がっている。
緑地控股の下落率は18%を超えた。不動産大手では香港株式市場の万科企業も14%安。香港市場では中国南方航空が18%安となるなど航空大手の下げが目立った。
中国大陸の株式市場は取引の8割を個人投資家が占める。米投信大手バンガード香港法人の王黔シニアアジアエコノミストは16年の見通しについて「中国の個人投資家はささいな材料でパニックに陥りやすく、不安定な相場が続くだろう」と話す。
台湾では米アップル関連株が急落した。中国などで流通在庫が積み上がるスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の最新モデルが減産されると伝わり、部品を供給するメーカーが売られた。金属筐体(きょうたい)大手の可成科技(キャッチャー・テクノロジー)が年初から20%下落し、光学レンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)は13%下げた。