大学入試センター試験で2006~15年の10年間に、全国31都府県の試験場で、替え玉受験の2件を含む不正行為が計65件あり、計67人が受験全科目無効の処分となっていたことが9日、大学入試センターへの取材で分かった。センターはこれまで不正行為の状況を公表していなかった。
センターによると、不正行為は毎年見つかっており、内訳は替え玉受験2件のほか、解答終了合図後の記入30件、定規の使用13件、カンニングペーパーの所持・使用8件など。電子辞書の持ち込みや、英語リスニングの開始前にICプレーヤーを作動させたケースもあった。
替え玉受験のうち1件は08年に東京海洋大の試験場で起きた。高校の女子生徒が、同じ高校の女子生徒が体調不良で途中から欠席すると知り、同意を得た上で、その生徒の受験番号と氏名で「数学(1)」と「数学(2)」の時間に連続して受験した。
数学(1)の時間に監督官が、受験番号が違うことに気付き、数学(2)の際に退出させた。受験した生徒は「自分は推薦で合格していたが、(相手は)数学が必要なので同情した」と説明した。
もう1件は10年に京都橘大の試験場で数学(2)の時間にあった。同じ高校の男子生徒2人が事前に打ち合わせ、相手の受験番号や氏名を解答用紙に記入するなどして一部の科目を受けたといい、採点時に不正が判明したという。センターは「苦手な科目の点数を良くしようと、どちらかが頼んだとみられる」とした。
今年のセンター試験は16、17日に実施される。センター総務課の伊藤亘課長補佐は「不正は不利益しか招かない。軽率な行為は慎んでほしい」と話している。〔共同〕