【ニューヨーク=平野麻理子】米生命保険最大手のメットライフは12日、米国内の個人向け生命保険部門を切り離すと発表した。売却や事業の分離・独立、新規株式公開(IPO)を検討しているという。営業利益の2割を稼ぎ出している部門を分離することで、米金融当局の厳しい規制から逃れる狙いがある。
完了時期は未定。メットライフは2014年に大手銀行と同じ「金融システムの安定に重要な金融機関(SIFI)」に仮指定された。SIFIは国際基準より厳しい自己資本比率の確保などが求められ、自社株買いなど資本政策の自由度が下がる。メットライフはこの規制強化案を不服として、15年にワシントン地裁に提訴していた。
同社のスティーブン・カンダリアン最高経営責任者(CEO)は「裁判でSIFI認定を争っているが、資本規制強化のリスクが事業の切り離しという決断につながった」と説明した。企業の従業員向けの生命保険の販売は続ける方針だ。
SIFIを巡っては、ゼネラル・エレクトリック(GE)も認定から外れるため、金融部門の大幅縮小を進めている。