【ニューヨーク=稲井創一】米ゼロックスが複合機・プリンターなどのハード機器部門と、IT(情報技術)サービス部門の2社に分割される見通しとなった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)が28日、報じた。
29日に予定されている2015年10~12月期決算発表と同時に会社分割の方針が打ち出されるという。15年11月に物言う株主(アクティビスト)として知られるカール・アイカーン氏によるゼロックス株の7%取得が明らかになり、以来、会社側に業績改善と取締役派遣を要求してきた。
WSJによると、ゼロックスは会社を分割した上で、ITサービスの分離会社にはアイカーン氏側から3人の取締役を受け入れるという。
ゼロックスは15年7~9月期に最終赤字に陥るなど業績不振が続き、株価も低迷していた。今回の会社分割は、不振の複合機・プリンター事業に見切りをつけ、成長が見込めるITサービスへシフトする実質的な会社解体ともいえる。
かつて50%を出資していた日本で事業を展開する富士ゼロックスについては、01年に保有株の半数を富士フイルムホールディングスに売却。富士ゼロックスは富士フイルムホールディングスの完全な傘下企業となり、25%の持ち分は残っているものの米ゼロックスの経営への影響力は限定的となった。