【フランクフルト=加藤貴行】独シーメンスと風力発電機専業大手のガメサ(スペイン)が経営統合の交渉をしていることが29日、明らかになった。実現すればヴェスタス(デンマーク)を抜き風力発電機の世界首位に浮上する見通し。シーメンスはインド、南米など新興市場に強いガメサとの統合で、成長市場でコスト競争力を高める狙いとみられる。
ガメサが同日、スペインメディアがシーメンスによるガメサの買収検討を報じたことに関し、「あらゆる戦略的な機会を随時分析している」との声明を出し交渉を認めた。同時に「現時点で何の合意にも達していない」と指摘した。シーメンス側は声明を出していない。
米調査会社ナビガント・リサーチによると、2014年に新規に稼働した風力発電設備の発電能力ではシーメンスがシェア9.9%で2位、ガメサは4.7%で8位だった。統合すれば12.3%のヴェスタスを抜く。
ガメサは15年1~9月期の受注の3分の2がインド、南米、中国など新興市場を占め、陸上風力に強い。売上高営業利益率も8%台と高い。一方、シーメンスは欧米を中心とした陸上風力と同時に、欧州を中心に普及が進む洋上風力では圧倒的なシェアを誇る。両社で補完関係を築き、部品の共通化などの効果も見込みやすい。