【ニューヨーク=稲井創一】米石油メジャーのシェブロンが29日に発表した2015年10~12月期決算で、最終損益が5億8800万ドル(約700億円)の赤字(前年同期は34億7100万ドルの黒字)となった。四半期ベースの最終赤字は02年7~9月期以来、約13年ぶり。原油安の影響が経営体力のあるメジャー各社にも及んでおり、業界全体で投資活動などの停滞感が強まりそうだ。
「1年前に比べ約50%下落した原油価格を反映して、15年の収益は劇的に悪化した」(ジョン・ワトソン最高経営責任者=CEO)。シェブロンの赤字転落は市場参加者にとっても予想外で、29日の米株式市場で株価は一時、前日比3%安となった。
10~12月期の売上高は37%減の292億4700万ドルだった。原油・天然ガス生産は日量267万バレルと前年同期に比べ3%増えたものの、原油相場急落で販売価格が落ち込み、売上高が大きく目減りした。
開発・生産の上流部門の不振に拍車がかかっており、米国の上流部門の最終損益が19億5400万ドルの赤字となって全体の業績の足かせとなった。収益を支えてきた石油精製などの下流部門もガソリン価格下落などの影響を受け、7~9月期と比べ利益率が鈍化。損益の落ち込みに拍車がかかった。
シェブロンは原油価格低迷の長期化に備えて、16年の設備投資を15年に比べ24%減の266億ドルに減らす。昨年には約7000人規模の人員削減も打ち出しており、16年中に約4000人を削減するという。
15年10~12月期決算ではシェール企業の米ヘス・コーポレーションが5四半期連続の赤字決算となった。同業のコンチネンタル・リソーシズも16年の投資を15年に比べ66%削減するなど、シェール企業の生産・投資活動もここにきて急減速している。石油メジャーの変調も加わることで、米国景気全体の一段の減速が懸念されそうだ。