大学生ら15人が死亡した長野県軽井沢町の大型バス転落事故で、運行会社「イーエスピー」(東京)は30日までに、発生時にハンドルを握っていた土屋広運転手(65)=死亡=に対する運転研修が1回だったと明らかにした。これまで2回としていた。
運行管理者の荒井強本社所長は報道陣に「しっかり研修させないといけなかったが、仕事の量が多くなり、(十分な)研修をしないで乗せてしまった」と釈明した。「不慣れで危ないと思わなかったのか」との問いには「そう思ったが(乗務させなければ)仕事が回らなかった」と話した。
同社によると、土屋運転手は、昨年12月の採用面接で「大型バスは慣れておらず、苦手だ」という趣旨の話をしていた。
長野県警からの聴取を受ける過程で、正しい研修回数が分かった。土屋運転手は昨年12月、長野県のスキー場に客を迎えに行く際に、研修として運転。同じ日の帰りのバスでは、実務として客を乗せて運転したという。
土屋運転手は昨年12月まで勤めていた会社では、中型専門だった。
事故では大学生13人と、交代要員を含む運転手2人が死亡し、長野県警は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで捜査。事故車両のギアがエンジンブレーキの利かないニュートラルの状態だったことが判明しており、操作を誤った可能性もあるとみている。〔共同〕