長野県松本市や山形村の複数箇所で倒木などが発生し、29日午後から県道などが通行止めになった。同市などによると、30日正午時点で周辺の旅館やホテルの宿泊客や従業員ら約260人が孤立状態になっている。一部施設では停電したり、電話が不通になったりしているが、いずれもけが人や体調不良を訴える人はいないという。
松本市災害対策本部によると、同市入山辺では、扉温泉の旅館「明神館」に宿泊客66人と従業員36人がいるほか、別の日帰り入浴施設や民家に計18人がいる。明神館は停電の影響で暖房が止まり、水のくみ上げもできず、29日夕から消防や警察の担当者が対応に当たっている。明神館は高級旅館として知られ、首都圏や外国からの客も多い。
このほか、美ケ原高原の「王ケ頭ホテル」に通じる林道が通行止めになり、宿泊客76人と従業員約40人が孤立状態になっている。
同県山形村のホテルに続く村道でも約3キロにわたって倒木があり、宿泊客や周辺の別荘に滞在していた人ら計26人が取り残されている。
松本市などは30日午前から各地で倒れた木などの撤去を始めたが、復旧のメドは立っていないという。
県松本建設事務所によると、29日の雨が冷えて凍り付いた木が重さで倒れた可能性がある。気温が低い地表付近で雨が冷やされ、木や電線などに触れて凍る「雨氷」現象が起きた可能性もあるという。