総務省が29日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は3.3%で、前月から0.1ポイント上昇した。良い条件の仕事を求めて自ら離職した人が増えたことが主因で、同省は「雇用情勢は引き続き改善傾向で推移している」と分析した。厚生労働省が同日発表した2月の有効求人倍率(同)は1.28倍で、24年1カ月ぶりの高水準を記録した前月から横ばいだった。
完全失業率は働ける人のうち職に就かずに仕事を探している完全失業者の割合を示す。2月の完全失業者数(季節調整値)は前月比4万人増の216万人。内訳をみると、より良い条件の仕事を探す理由などで自発的に離職した人が3万人増えて88万人となった。
こうした離職者が就職に結びつかなかったため、2月の失業率は前月より小幅悪化したが、3%台前半で推移する傾向が続く。就業率も15~64歳で73.5%(前年同月比0.8ポイント増)と48カ月連続で上昇した。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。倍率が高いほど求職者は仕事を見つけやすく、企業にとっては採用が難しい。
雇用の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月より9.6%増の96万6486人だった。業種別にみると、訪日外国人客の増加などを背景に、宿泊・飲食サービス業(23.3%増)や卸売・小売業(11.6%増)などで求人数の伸びが目立った。