日銀の高松、松山、高知の各支店と徳島事務所が1日発表した3月の四国4県の企業短期経済観測調査(短観)は企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が2015年12月の前回調査と変わらず、改善が足踏みした。中国をはじめ新興国経済の減速や為替の円高基調などから先行きに対する不透明感も強い。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。四国の全産業は前回と同じプラス9。製造業はプラス14、非製造業はプラス5で、いずれも横ばいだった。全産業のDIは15年12月まで2期続けて改善していた。
製造業のうち食料品は4ポイント改善のプラス7、非製造業のうち卸売りは4ポイント改善のプラス6、小売りは3ポイント改善のマイナス2と消費関連でDIが上向いたが、製造業の電気機械は15ポイント悪化した。
県別では香川が3期連続で改善したものの、愛媛・徳島が悪化した。高知は横ばいだった。
徳島は4ポイント悪化のマイナス1と、15年6月以来3期ぶりのマイナス。電気機械や汎用機械が振るわず製造業が6ポイント悪化した。荒木光二郎徳島事務所長は「新興国経済の減速や金融市場の不安定な動きなどが企業マインドを冷やしている」との見方を示した。愛媛も1ポイント悪化のプラス10。製造業は5ポイント改善したが、非製造業がサービス関係を中心に4ポイント悪化した。
香川は3ポイント改善のプラス10だった。設備投資が底堅いうえ、個人消費も持ち直している。外需依存度の低い産業構造もあり、「全国的な傾向と異なる景況感」(菱川功高松支店長)という。
高知は製造業が6ポイント悪化したが、防災関連の工事などが堅調な非製造業は3ポイント改善した。河合祐子高知支店長は「県外大手企業の業況の悪化が県内の下請けに影響を与えるか注視していきたい」としている。
四国4県の先行き(16年6月)の業況判断予測は全産業が10ポイント悪化のマイナス1。製造業、非製造業とも悪化を見込む。香川、愛媛が10ポイント悪化と慎重さが際立つ。金融機関の貸出態度などのDIからマイナス金利策の効果がうかがえ、香川では事業計画も堅調だが、菱川高松支店長は「リスクへの懸念の方が判断に強く出た」と見る。
松山支店の真鍋正臣支店長は「(新興国経済の減速が)足元は用船料の低下で収益が悪化している海運業に限定的に出ているが、先行きは造船や造船用クレーンにも警戒する見方が表れている」と分析する。