政府は13日、安倍晋三首相や閣僚らが国内外の有識者と意見交換する国際金融経済分析会合の第5回会合を官邸で開いた。経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は「日本は予定通り2017年4月に消費税率を10%に引き上げるべきだ」と主張した。
国際金融経済分析会合でウェイ・アジア開発銀行チーフエコノミスト(右から2人目)、OECDのグリア事務総長(同3人目)にあいさつする安倍首相(13日午前、首相官邸)
首相はグリア氏に「消費税率を10%に引き上げた場合に個人消費への影響をどうみているか」と質問。グリア氏は「日本の債務残高は国内総生産(GDP)比で230%とOECD加盟国で初めての経験だ。私なら税率引き上げを先送りしない」と述べ、財政再建の必要性を訴えた。
グリア氏は会合後、記者団に「日本は消費税率を毎年1%、少なくとも15%まで引き上げるべきだ」と述べた。
会合にはアジア開発銀行(ADB)チーフエコノミストのシャンジン・ウェイ氏も出席し「中国経済の成長は緩やかになっているが、アジア諸国は引き続き力強く成長している」と説明。首相が「中国の経済成長率は実態を表していないとの指摘があるがどう思うか」と尋ねると、ウェイ氏は「疑念の根拠が必ずしも正しいとは限らない。主要国の民間金融機関の見通しもそれほど変わらない」との見方を示した。
分析会合は5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けた勉強会との位置付け。首相はサミット前後に消費増税の是非を最終判断する見通しだ。分析会合では日本の財政政策が焦点の1つとなっている。