熊本県を中心とする九州地方で14日夜に発生した、最大震度7の地震。気象庁は横ずれ断層型との解析を出した。専門家は、震源が内陸の深さ10キロという浅い場所で起きていることから、典型的な活断層の活動による地震とみている。
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熊本県には、阿蘇外輪山西斜面から南西方向に、布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯が走っている。この断層は全長約101キロと九州最長で、北西部に熊本市がある。震源地の周辺について、政府の前地震調査委員会委員長の本蔵義守さんは「布田川・日奈久断層帯のほか、小さな規模の活断層が多くあり、いずれかの断層が動いた可能性が高い」と話す。気象庁も横ずれ断層型との解析を出していることから、「この地域で過去に起きた地震ともメカニズムが一致する」と指摘する。
地震予知連会長の平原和朗・京都大教授(地震学)は、布田川・日奈久断層帯の北東部の断層の一部が動いた可能性があると指摘。「断層の北東部が動いた今回の地震によって、(政府の地震調査研究推進本部が)マグニチュード(M)7・6程度と予想する中部、M7・2程度と予想の南西部の断層帯が連動して動く可能性は否定できない。今後の余震の広がりに注意する必要がある」と話す。
一方、推定されるMは6・4。地震の規模の割に、最大で震度7と揺れは大きいという。このことから本蔵さんは「地盤が弱い場所など局所的に大きく揺れたのでは」ともみる。
山岡耕春・名古屋大地震火山研究センター長も、地震の規模や熊本市内の様子をテレビの中継で見た限り、阪神大震災のように断層が本格的に動いたわけではないようだ、とみている。「震度7の場所は、動いた断層の真上か地盤が悪い場所だったのか、理由があったのでは。余震に注意しないといけない」と話す。
政府の地震調査研究推進本部の資料によると、熊本県には布田川・日奈久断層帯のほかに別府―島原地溝帯があり、過去にはこれらの周辺で地震が発生している。
以前に熊本市付近に被害を及ぼした地震としては、1889年のM6・3の地震が知られる。市街地の直下で発生、死者20人、400棟以上の家屋が全・半壊した。これ以外に、1625年、1723年、1848年、1907年にもM5~6の地震が発生している。