今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)にはぜいたく品ブランドがことのほか熱かった。売り始めるとすぐ売り切れ、再入荷するとまたすぐ売り切れ、ブランド側は海外から緊急に商品を調達しなければならず、クロエ、IWC、バレンシアガなどの「ビッグブランド」を含む人気のファッション小物65ブランドはいずれも世界から中国市場向けに商品を調達した。
また今年8月以降、全国各地のぜいたく品ブランド直営店には「行列ラッシュ」が出現した。特にルイ・ヴィトン、シャネル、カルティエなどは9月1日から値上げするとの情報が流れ、消費者の購買意欲が改めて強く刺激された。
ぜいたく品ブランド 中国を得た者が天下を取る
ぜいたく品とは、国際的な定義では、「人々の生存や発展における必要性の範囲を超え、独特、少数、貴重といった特徴を備えた消費財のこと」とされる。経済学で言うと、ぜいたく品とは有形の価値に対する無形の価値の割合が最も高い商品だ。
単純化して言えば、値段が高いのがぜいたく品で、その価格は日用品をはるかに上回る。
ここ数年、中国では国民の収入が増加するのにともない、これまでは富裕層の標準装備だったぜいたく品が、大衆にもちょっと背伸びすれば手の届くものになった。
特に女性向けのビッグブランドのバッグ、トップブランドの化粧品、高品質のアパレル製品などは、安いものでも数千元(1元は約15.9円)はし、高ければ万の単位になる。とはいえ、都市のホワイトカラーにしてみれば、決して手の届かない価格ではなく、少し倹約すればネットで「ポチッ」と購入できる。
人々の高まる購買意欲の下、中国は今や世界最大の個人ぜいたく品市場になった。
2012年には中国の個人ぜいたく品市場は世界の12%を占める規模に過ぎなかったが、18年は8720億元に達して33%を占めるようになった。
その6年間のぜいたく品市場の伸びの半分は中国市場からきていた。ボストン・コンサルティング・グループの予測では、25年にこの割合は75%に達し、中国のぜいたく品市場消費額は世界の41%を占めるという。
20年がスタートすると、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がり、ぜいたく品市場は大きな打撃を受け、売り上げは前年比で25-45%落ち込むと予想される。しかし中国国内市場は感染症の抑制が成功して他国に先駆けて回復を遂げたため、20年全体で中国ぜいたく品市場は20-30%の伸びを達成する可能性がある。
多くのビッグブランドが感染症の影響による損失を穴埋めするため、中国市場での販売価格を引き上げている。最近、ファッションビジネス速報が複数の関係者の話として伝えたところでは、ルイ・ヴィトンは傘下の商品価格を引き上げる予定で、値上げ幅は約15%だという。この情報が本当なら、ヴィトンは今年4回目の値上げを行うことになる。
ぜいたく品値上げのニュースが伝わるたびに購入ラッシュが起きてきた。今年3月、5月、9月にも、値上げ情報が広がると、そのぜいたく品ブランドの実店舗には行列ができた。
「中国を得た者が天下を取る」とは、今やぜいたく品業界の争えない事実になっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年12月2日