非常災害対策本部会議であいさつする安倍晋三首相(右から3人目)=17日午前、首相官邸、時事
安倍晋三首相は17日、熊本地方の地震について、復旧事業などを支援する激甚災害に早期に指定する考えを示した。また、政府は被災した自治体を支援する省庁横断の「被災者生活支援チーム」を設置した。自治体との連携を強め、被災者の支援にあたる考えだ。被災地への航空機による物資輸送で、米軍の支援を受け入れる方針も決めた。
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首相は17日夜、首相官邸で開かれた地震非常災害対策本部会議で「激甚災害の早期指定をはじめ、普通交付税の繰り上げ交付、予備費の投入などあらゆる手段を尽くしていく考えだ」と述べた。激甚災害に指定されると、道路や農地の復旧などで、国からの補助率がかさ上げされる。政府は今年度予算の予備費も投入し、早期に復旧事業を進める方針だ。
また、17日夕には官邸で被災者生活支援チームの初会合があり、首相は「このチームで緊密な連携をとりながら、先手先手で被災者の生活支援に対応していく。ニーズを的確に把握して迅速に対応することが重要だ」と指示した。
被災者生活支援チームは、官邸幹部や各省庁の事務次官らで構成する。省庁の職員を被災した市町村に派遣し、支援物資や避難施設などに対するニーズを把握して、国の支援活動に反映させる。職員の派遣先や規模は18日にも決める。
米軍の輸送支援については、首相が17日午前11時過ぎ、米国から中谷元・防衛相を通じて協力の申し出があったと記者団に説明。「速やかに具体的な輸送ニーズを調整し、整い次第ただちに実施したい」と述べた。首相は同日午前8時半過ぎには記者団に「現在のところ、直ちに米軍の支援が必要という状況ではない」と語っていたが、軌道修正した。
菅義偉官房長官は同日昼過ぎの記者会見で「物資の輸送であれば当然、オスプレイも調整の中に入ってくる」と述べ、米軍の新型輸送機オスプレイの利用を調整していることを明らかにした。防衛省によると、オスプレイやC130輸送機で、自衛隊員や援助物資を輸送する方向で調整しているという。米軍のオスプレイが、実際の災害に派遣されるのは初めてだ。
海上自衛隊は、オスプレイが離着陸できる大型護衛艦「ひゅうが」を、熊本県八代市に向けて派遣している。18日以降、米軍普天間飛行場に所属するオスプレイが、ひゅうがを拠点に給油などを受けながら、被害の大きい同県南阿蘇村などと行き来することを想定している。(中崎太郎、福井悠介)