中国に起源を持つ桃は適応性が高く、広く分布しており、植物の環境適応性を研究する良きモデルだ。世界的な学術誌「Genome Research」は、中国農業科学院鄭州果樹研究所研究員の王力栄氏のチームが中心になって行った複数の環境要因の桃ゲノムへの影響の遺伝子解析を掲載し、桃ゲノムの変化の秘密を明らかにした。これは、育種家が気候変動に対応する植物品種の適応性改良の新モデルを構築する一助になる。光明日報が伝えた。
同研究チームは263件の桃遺伝資源のゲノムデータを利用し、桃の地方品種と野生近縁種の複数の変異グループマップを構築した。ゲノムの研究から見ると、桃の地方品種と野生近縁種は雲貴高原、華南亜熱帯、長江中・下流、華北平原、東北寒冷地、西北乾燥地、青蔵高原(チベット高原)という7つの生態型に分かれ、地理的分布と高い一致性を持ち、環境が桃の遺伝子分布の主な原動力であることが分かる。同チームは同時にゲノムに選択を受ける2092のエリア、2755の環境要因関連ポイントを発見し、桃の異なる環境条件下のゲノムモデルを体系的で全面的に明らかにした。
王氏によると、関連遺伝子座の研究において、同チームは桃の耐寒性、高原適応性、開花期の緯度の適応性をコントロールする鍵となる遺伝子及びその変異メカニズムを発見した。「乾燥していた方が桃の実がより甘い」という遺伝学的基礎、果肉の色の適応性進化の遺伝メカニズムを明らかにした。さらに同チームは、桃の開花期が現在世界的な気候変動の影響を受けており、80年代より10日早くなっていることを発見するとともに、桃の気候変動に反応する鍵となる候補遺伝子「LNK1」を発見した。上述した研究結果は高品質かつ広い適応性を持つ桃の新品種の栽培に重要な参考材料を提供した。また、世界的な温暖化が農業生産に及ぼす影響への対応に関する研究の一助にもなる。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年3月11日