関西電力高浜原発1、2号機=今年1月、福井県高浜町、朝日新聞社ヘリから
原子力規制委員会は20日、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)が新規制基準を満たすと認める審査書を正式決定し、安全対策の基本方針についての関電の申請を許可した。新基準での許可は4例目だが、40年を超えた老朽原発では初めて。原子炉の劣化状況などの審査も進んでおり、今年7月の期限までに運転延長が認可される公算が大きくなった。
特集:高浜原発
東京電力福島第一原発事故後の法改正で定められた原発の運転期間を40年とする原則が形骸化し、「極めて例外的」とされていた60年までの運転延長が相次ぐ可能性がある。ただ、延長が認可されても耐震対策工事などに数年かかると関電はみており、再稼働の時期は2019年秋以降になる見通しだ。
今の制度では、運転開始から原則40年までに規制委が認めれば1回だけ最長20年間延長できる。高浜1、2号機の場合、経過措置で猶予された今年7月の期限までに、新基準に基づく安全対策の基本方針の許可、詳しい設計の認可、運転延長の認可の三つを受ける必要がある。
関電は昨年3月に新基準に基づく審査、翌月に運転延長の審査を申請。新基準の審査で最大の焦点だった電気ケーブルの防火対策では、2基で全長計1300キロに及ぶケーブルの6割を燃えにくいものに交換、残りを防火シートで覆う方針を示し、了承された。規制委は今年2月に審査書案を公表、30日間の意見募集で寄せられた606件の指摘を踏まえ、審査書を正式決定した。詳しい設計の審査や運転延長の審査では大きな課題は残っていない。
これまで規制委が新基準で許可を出した九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、高浜3、4号機、四国電力伊方3号機(愛媛県)の運転年数は21~31年となっている。(北林晃治)