家屋の下敷きになりながらスマホに打ち込んだ遺書(鷲頭さん提供)
震度7を記録した熊本地震の本震で、倒壊した家屋に閉じ込められながら奇跡的に助かった男子学生が、復興に向けて歩み出した。友人は家屋の下敷きになって亡くなった。「あの時、生きるのをあきらめた僕が生き残ってしまった」。23日で本震から1週間。入院していた病室で、生きることについて考え続けてきた。
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熊本地震 災害時の生活情報
■南阿蘇で救出、東海大生が募金
学生3人が亡くなった熊本県南阿蘇村の東海大学阿蘇キャンパスの学生や卒業生ら約50人が23日午後、JR博多駅前で募金を始めた。その中に、首にコルセットをした農学部3年生の鷲頭(わしず)朋之さん(22)の姿もあった。
鷲頭さんは倒壊したアパートから助け出され、22日に病院を退院したばかり。友人から無理をしない方がいいと言われたが、自ら「行きたい」と申し出た。「震災の出来事をしっかり伝え、復興の力になりたいと思っています」
16日未明の本震で、キャンパスでは学生のアパートや寮など6棟が倒壊。鷲頭さんは14世帯の2階建てアパート1階の自室にいた。「ドーン」と音がした直後、テレビ画面が消え、室内の照明が消えた。意識を失った。