安倍晋三首相は、夏の参院選と衆院選を同時に行う衆参同日選を見送る意向を固めた。当面は熊本県などでの一連の地震対応を優先すべきだと判断した。首相は24日、麻生太郎副総理兼財務相、谷垣禎一自民党幹事長と会談し、地震対応に特化した今年度補正予算案の編成を指示。6月1日までの今国会会期は延長せず、5月下旬までの成立を目指す。
「被災地に負担」批判懸念 同日選への熱、一気に冷める
首相は同日選について、「考えていない」との認識を周辺に伝えた。首相はこれまで、7月に予定される参院選に向けて野党が進めている選挙協力にくさびを打ち込むため、堅調な支持率も背景に与党に有利とされる衆参同日選の可能性を視野に入れていた。
だが、被災者への支援や復旧・復興を進める被災自治体に同日選の準備で負担を強いるのは現実的ではないと判断。また、2年半以上の任期を残す衆院を現時点で解散すれば、「選挙を優先して危機対応を軽視した」との批判を招きかねないとの見方も働いた。