上海市静安区に戻り、自宅での経過観察中だったあるイタリア人夫婦のもとに最近、1本の電話がかかってきた。電話に出ると、イタリア語で、「こんにちは。私は上海市公安局静安分局の警察官で、イタリア語ができます」と話しかけられ、母語を聞いた二人はとても親しみを感じたという。中国青年報が報じた。
またこの警察官は、イタリア語で、「自宅で経過を観察し、新型コロナウイルス感染に似た症状が出た場合は、すぐに病院に行くように」と伝えた。
この警察官は、海外からの新型コロナウイルス輸入症例を予防するための、外国人関連の防疫業務を担当するグループに所属する白文超さんで、上海外国語大学でイタリア語を専攻していた。上海市公安局静安分局は、上海公安初の外国人に対応するグループを立ち上げ、11ヶ国語で、新型コロナウイルス感染をめぐる問い合わせなどに対応している。
同グループには警察官37人が所属しており、平均年齢は30歳。メンバーの中には、中国とイタリアの聯合パトロールや国連の平和維持活動などに参加したことがある警察官もいるほか、上海の重要な外国人関連の警務業務を扱う警察官など、「ハイスペック」の警察官もいる。
3月7日午後、浦東空港で、新型コロナウイルス感染拡大が深刻な国からやって来た男の子が、防護服を着た医療従事者を見て驚き、「家に帰りたい」と突然大きな声を上げて泣き始めた。そこで、中国の英語統一試験TEMの8級合格者である、外国人対応グループの交通警察官・呉瑞豊さんがすぐに駆け付け、「小さいクマの人形をあげるから、クマと一緒に勇気を出して病気と戦おう」と流ちょうな英語で励ました。すると、男の子はクマの人形に手を伸ばし、やや恥ずかしそうに人形を抱くと、泣き止み、笑顔を浮かべたという。同グループはこれまでクマの人形10体を子供たちにプレゼントしてきた。
同グループは現在、「空港・列車駅の班」、「コミュニティの班」、「クラウドプラットフォームでの通訳班」の3つの班に分かれ、それぞれ4交代制の24時間態勢で外国人への対応に当たっている。
今月19日夜までに、同グループは、外国人147人を安全に静安区へ送り届けた。また、コミュニティやオンラインで通訳を約200回行ったほか、ニューメディアで伝えるための新型コロナウイルスをめぐる最新情報約30件を作成し、各主流メディアで掲載されて、クリック回数が100万回以上に達した。
「相手の母語で交流することで、情報を正確に伝えることができるほか、相手もホッとした気持ちになる」と白さん。
新型コロナウイルス関連の情報を伝えるほか、同グループは、新型コロナウイルスや医療物資・衛生用品をめぐる特殊詐欺などに注意するよう呼びかけ、外国人たちが安心して仕事や生活ができるようサポートしている。8ヶ国の領事館が「窓口で配布したりサイトで掲載したりしたいので、公安が提供している防疫知識を提供してほしい」と、同グループに連絡してきているという。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年3月31日