一連の熊本地震による避難者に肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)患者が相次いでいる問題で、熊本県は25日、入院が必要な重症と判断された患者が35人(うち1人死亡)にのぼると発表した。
エコノミー症候群、なぜ多発 「きわめて異常な状況」
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熊本地震 災害時の生活情報
最初に地震が発生した14日から24日までの間に、県内20の主要医療機関を対象に調査し、入院が必要な肺塞栓症の患者数をまとめた。
35人のうち、女性が29人で男性は6人。65歳以上が21人で65歳未満が14人。
県はこれまでに災害関連死の疑いがある死者を12人としており、車中泊後に発症して死亡した熊本市西区の女性(51)も含まれている。
発症者数をまとめたのは、国や自治体、熊本大学、専門学会などが21日に発足させた肺塞栓症専門対策チーム。2004年の新潟中越地震後に死者が出て注目されながら、本格的な対策が実施されてこなかった肺塞栓症対策に、国も本腰を入れる。
チームは予防啓発にも力を入れる。車中泊をする人などに対し、肺塞栓症の原因となりやすいふくらはぎの血の塊(血栓)の有無を調べ、リスクが高い人に医療機関の受診を勧める活動を行っていくという。