新型コロナウイルス感染による肺炎が世界中に広がり、最近になってベトナム、タイ、カザフスタン、エジプト、セルビア、カンボジアの6ヶ国が穀物の輸出を禁止すると相次いで発表した。こうした一部国の穀物輸出制限や世界の穀物供給チェーンの混乱が、中国の穀物供給は大丈夫かと多くの人々に不安を抱かせる。新華社が伝えた。
中国の穀物は十分か?
中国人民大学経済学院の劉守英院長は、「目下、穀物の生産側にも供給側にも問題は起きていないが、多くの国が国や都市を閉鎖する中で、一部の穀物の供給チェーンが一時的に中断されている。緊急物資として穀物や食品は最もパニックを引き起こしやすく、パニックそれ自体が穀物の買い占め現象を激化させ、容易に資本市場の投機行為を招く」と述べた。
劉氏からみると、「現在の中国の穀物問題は量の問題ではなく、構造の問題だ。数量という点では、中国は米や小麦など主要食糧となる穀物に十分な数量がある」という。
データによれば、中国の小麦生産量は1億3千万トンから1億4千万トンほどで、この水準を長年維持し、構造調整として輸入された小麦は500万トン前後だ。2019年の籾・米の輸入量は255万トンで、国内の消費量の1.28%を占めた。中国のトウモロコシ需要も主に国内の供給に頼っていて、19年の輸入量は国内消費量の1.72%だった。
中国社会科学院農村発展研究所の党国英研究員は、「中国の主要食糧となる穀物の輸入量はそれほど多くなく、輸入するのは主に工業用穀物、種子用穀物、飼料用穀物などだ。中国には整った穀物備蓄システムがあり、在庫量は非常に多く、危機に対応できる」と述べた。
また最近、国家穀物・油情報センターの王遼衛シニアエコノミストが取材に答える中で、「中国の穀物総生産量は5年連続で安定して6億5千万トンを超えた。ここ数年、穀物備蓄の体制・メカニズムが持続的に整備され、備蓄は十分にあり、小麦や米など配給穀物の在庫は歴史上最高の水準にある。主要な輸出国が輸出制限措置を取ったことで、国際市場の穀物価格の変動が激しくなる可能性はあるが、現在の中国の穀物市場への影響は大きくない」と述べた。