福島第一原発の事故後に死亡した双葉病院(福島県大熊町)の入院患者2人の遺族が、東京電力に計約6640万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。中吉徹郎裁判長は、計約3100万円の支払いを東電に命じた。
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訴えていたのは、第一原発から約4・6キロの同病院に入院していた安倍正さん(当時98)と辺見芳男さん(同73)の遺族。
訴状によると、安倍さんは事故で避難指示が出ていた2011年3月14日、自衛隊に救出された。8時間、約230キロの移動を強いられた後、県内の避難所で16日に死亡した。辺見さんも約80キロを移動して別の病院に入ったが同日、脱水症で死亡した。
遺族側は「事故で十分なケアを受けられず、長距離、長時間の搬送による負担で死亡した」と主張。東電側は「死亡には地震や元々の体調も影響している」として争っていた。
同病院と系列の介護施設では、原発事故後の避難が遅れ、同年4月までに約50人が死亡した。東京地裁では、今回の2人を含め、死亡したり行方不明になったりした7人の患者の遺族らが提訴したが、判決は初めて。(千葉雄高)