がんの治療で不妊になるのを避けるため、治療前に卵巣の一つを採取し、卵子をつくる卵巣組織を全国4カ所でまとめて凍結保存する「卵巣バンクネットワーク」を構築したと、不妊治療診療所を経営する「レディースクリニック京野」(仙台市)が27日発表した。
卵巣の摘出や、治療後に卵巣組織を患者の残った卵巣に戻すのを担当する13医療機関と提携。今後さらに増やしていく。保存施設は、日本産科婦人科学会に認められれば、5月中にも開設したいという。
卵巣凍結は、すぐにがんの治療を始めなければならない患者や、卵子を採取できない子どもの患者のために試みられている。
クリニックによると、卵巣凍結を導入しているのは大学病院など全国15施設。長期間の保存には経費がかかるため、保存を4施設が担うことで、ほかの医療機関も卵巣凍結に取り組むことができ、患者が受けやすくなるとしている。
保存施設は京野アートクリニック(宮城)、京野アートクリニック高輪(東京)、杉山産婦人科(同)、関西地方の1施設(名称は非公表)。卵巣の摘出などを担当するのは公表分では、東邦大学医療センター大森病院(東京)、聖路加国際病院(同)、杉山産婦人科(同)、JCHO群馬中央病院(群馬)、兵庫医科大病院(兵庫)、空の森クリニック(沖縄)、エフ.クリニック(青森)。(福宮智代)