中国の王毅(ワンイー)外相は29日、北京を訪問中のロシアのラブロフ外相と会談し、朝鮮半島情勢の悪化を受け、米国が高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」の在韓米軍配備を検討していることに断固反対していく方針で一致した。
両氏が会談後の共同会見で明らかにした。王氏は今回の会談の重要な議題の一つがTHAAD配備であるとし、「防衛上の必要性を超えており、仮に配備されれば中ロの安全保障戦略に直接的な影響を及ぼす」と指摘。「すでに緊迫している半島情勢にさらに火に油を注ぐことになり、地域の戦略均衡を損なう」と強く反発した。これに対し、ラブロフ氏も米国を名指しし、「平壌の行動をこの地域の軍事的な口実に使うべきではない」と牽制(けんせい)した。両氏は北朝鮮の核問題の解決には、6者協議の早期再開に向けた環境づくりが重要だとの認識を示した。
一方、南シナ海について王氏は「私もラブロフ氏も直接当事国が話し合いにより解決するべきだとの考えだ」と強調。中国の人工島造成を批判する米国を念頭に「域外国は情勢を混乱させるべきではない」とした。両氏は18日にもモスクワで会談。南シナ海で同様の立場を確認していた。
また28日には習近平(シーチンピン)国家主席がラブロフ氏と会談。6月のプーチン大統領の訪中を視野に、中国は南シナ海やTHAAD配備の問題で利害が一致するロシアと連携を強めていく構えだ。(北京=倉重奈苗)