カヤの木の表皮を削って彫られた不動明王を見る拝観者=30日午前、京都市伏見区、佐藤慈子撮影
幹回り約4メートルのカヤの巨木に、鎮座する不動明王を彫った「榧(かや)の木不動尊像」が、京都市伏見区の善願寺で公開されている。京都非公開文化財特別公開の一環で、多くの拝観者が新緑の下で手を合わせている。
京都非公開文化財 2016春の特別公開
木は、小野小町がまいた実が育ったとされ、樹齢1千年と伝わる神木だ。1955年、神木に不動明王が立つ夢を見た先代住職が、本尊「地蔵菩薩(ぼさつ)坐(ざ)像(腹帯地蔵)」(国重要文化財)の修理で寺を訪れた昭和の大仏師・西村公朝(こうちょう)さん(故人)に制作を依頼。西村さんは、生きている立ち木に影響を与えない範囲を調べ、樹液を浴びながら1日で彫り上げたという。
約1メートルの高さに彫られた不動明王は像高約1メートル。これまでに左右5センチずつ木の表皮が仏像を巻き込んでおり、いずれ不動明王は木の中に隠れるという。
特別公開(朝日新聞社特別協力)は5月8日まで。1カ所あたり大人800円、中高生400円(一部異なる)。拝観料収入は文化財の保存や修理に役立てられる。問い合わせは主催の京都古文化保存協会(075・754・0120)へ。(久保智祥)