阿蘇大橋付近の捜索現場の様子を調べる消防や警察の関係者=1日午前8時3分、熊本県南阿蘇村、上田幸一撮影
早く戻ってきて――。熊本地震の「本震」で崩れた大量の土砂が、熊本県南阿蘇村で懸命に続けられてきた熊本学園大4年、大和晃(ひかる)さん(22)=同県阿蘇市=の捜索の手を阻んだ。家族は安否がわからないままの息子を案じるが、陸上からの捜索再開の見通しは立たない。
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残された1人、陸の捜索中止 阿蘇大橋付近、ヘリは継続
「今は何も考えられんね。早く手元に戻ってきてほしいという思いだけ」
陸上での捜索中止が決まると、大和さんの父親の卓也さん(58)は、阿蘇市の自宅で言葉を絞り出した。
1日昼、熊本県警と県の5人が自宅に来て、重機や人による捜索は終えると告げられた。カメラやヘリコプターで監視は続けるとも説明されたが、事実上、捜索は終わりだと感じ、ショックを隠せなかった。
大和さんは4月16日未明の「本震」の際、友人宅から乗用車で帰宅するため阿蘇大橋周辺を通行中、土砂に巻き込まれたとみられている。本震の約10分後に卓也さんが携帯に電話したが、つながらなかったという。