「ばす」の遺影が飾られた祭壇に、2代目名誉駅長「らぶ」も玉串を捧げた=会津若松市の芦ノ牧温泉駅
福島県会津若松市の会津鉄道芦ノ牧温泉駅で2008年から名誉駅長を務め、4月22日に推定18歳で亡くなった雌猫「ばす」の葬儀が1日、会津鉄道の社葬として同駅で営まれた。県内外から約300人が参列。駅舎に入りきれない人々は、冷たい雨の中、傘をさして冥福を祈っていた。
葬儀委員長の大石直社長が「自由に生きてきたばすにとって、名誉駅長は多くの人に囲まれ、つらい日々だったかもしれない。でも、人にこびを売ることもなく、好きでないことは好きでないという凜(りん)とした態度が、私は好きだった」とあいさつ。県や市などの関係者から、会津鉄道や芦ノ牧温泉の知名度を高め、福島への誘客に結びつけた功績をたたえる言葉が続いた。
5年前にばすの写真集を出した高松市の鉄道カメラマン、坪内政美さん(41)は「最終列車を送ってから亡くなったと聞いた。最後まで、ぽっぽや(鉄道員)の精神をしっかり持っていた」。喪主の小林美智子駅長は駅舎を取り巻く人々の姿に「本当に愛されていたんだとしみじみ感じた」と話していた。
ばすは、線路のそばに植えられるハナモモの木の根元に葬られるという。(戸松康雄)