地震発生から、駐車場で車中泊の避難生活を続ける横田光秋さん(58・左端)夫妻。日差しが強くなり、シートやタオルを広げてしのいでいた。「熱中症には気をつけています。梅雨や蚊の季節になったら屋内での避難生活も考えないと。それまでに仮設が出来れば」。1日に始まった罹災(りさい)証明書の受け付けには朝9時から並んだ=1日午後0時57分、熊本県益城町、遠藤啓生撮影
熊本地震で被害を受けた熊本、大分両県では1日、各地で今年の最高気温が記録された。大型連休中も最高気温が25度以上の夏日が続くことが予想され、避難所では熱中症を予防する取り組みが始まっている。
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熊本地震 災害時の生活情報
気象庁によると、熊本県内は高気圧に覆われて気温が上がり、各地で夏日となった。約5千人が避難生活を送る同県益城町では午後2時過ぎに25・8度を記録。熊本市でも午後2時前に26・5度になった。大分県の湯布院(由布市)では6月下旬並みの26・8度と今年の最高気温を記録した。
益城町惣領の町保健福祉センターの避難所では、福岡県大牟田市から来た小中学生らのボランティア約20人が、かき氷を避難者らに振る舞った。氷は300杯分、シロップも10種類以上用意した。
大牟田市立田隈中学2年、河原畑夏海さん(14)は「冷たいかき氷をどうぞ」と声をかけながら、かき氷を配った。竹林新さん(75)は「暑いので、元気になりました。おいしかです」と笑顔で、かき氷をほおばっていた。
熊本市の避難所では、医薬品会社から無償提供された清涼飲料水が配られた。脱水症状を防ぐため塩分やカリウムなどが含まれているといい、市は約200の避難所にそれぞれ1箱(24本入り)ずつ配布。避難所を巡回している保健師が熱中症の症状がないかを確認し、チラシを渡して予防方法などを説明した。
避難所になっている熊本市北区の龍田体育館では昼食の際に、熱中症予防のため避難者約20人にスポーツドリンクが配られた。物資の管理者らが「暑くなるけん、熱中症にならんよう飲んでね」と呼びかけた。
■熱中症、防ぐには
人間の体は通常、体温が上がっても汗や皮膚の温度上昇によって熱を外に逃がし、体温を調節するようにできている。ところが、高気温や激しい運動により体内の水分や塩分のバランスが崩れ、こうした体温調節の機能が働かなくなると熱中症を引き起こすことがある。めまいや立ちくらみ、手足のしびれ、けいれん、体温の上昇などが症状として表れる。
夏に向けて、大勢の被災者が生活する避難所も室内温度が上昇しやすく、熱中症の発生が心配される。
東日本大震災の後、厚生労働省は避難所における熱中症予防対策の徹底を各自治体に呼びかけた。具体的には温度計や湿度計、大型のエアコンや扇風機を設置して室内温度を適切に保つこと、空調効果を上げるための遮光カーテンや「緑のカーテン」の活用を提案。また、お茶や飲料水を備蓄し、こまめに水分補給ができる体制整備も求めた。
特にお年寄りは体温調節機能の低下のために熱中症にかかりやすく、重症化する恐れもあるため、周囲が注意深く見守る体制づくりが必要となるという。