左から中村吉右衛門さん、尾上菊之助さん、寺嶋和史さん、尾上菊五郎さん=松竹提供
歌舞伎俳優の尾上菊之助さん(38)の長男、寺嶋和史(てらじまかずふみ)さん(2)が、2日に東京・歌舞伎座で開幕した恒例の「団菊祭五月大歌舞伎」夜の部で初お目見えした。約2千人の観客で満席となった。
団菊祭は、明治時代に活躍した九代目市川団十郎と五代目尾上菊五郎をたたえる祭典。
菊之助さんは、尾上菊五郎さんの長男で、妻は中村吉右衛門さんの四女。「勢獅子音羽花籠(きおいじしおとわのはなかご)」では、役者たちが鳶(とび)頭や芸者衆に扮して華やかな舞踊を披露。尾上菊五郎さんと中村吉右衛門さんの両祖父、父の菊之助さん、和史さんが三代そろっての登場となった。
花道に出てすぐ和史さんは転んでしまい、菊之助さんに抱き上げられて舞台に登場したが、両手の甲で顔を覆ったまま。かわいらしいしぐさに「音羽屋」の声援が飛んだ。
菊五郎さん、吉右衛門さんが挨拶(あいさつ)した後、菊之助さんは「長男の寺嶋和史が初お目見えをさせて頂くことに相成りましてございまする。ご挨拶するには少しまだ足りませんが、いくいくはひとかどの役者になるようごひいき、おひきたてのほどをひとえにお願い申し上げます」と挨拶(あいさつ)した。最後に皆で手締めをした後、和史さんは手を振って、ようやく笑みを見せた。
4月上旬にあった菊五郎さんの取材会では、和史さんが毎朝、「寺嶋和史でございます」と名乗って挨拶をしていることを披露した。将来は「弁天小僧など、うち(音羽屋)のものをやってもらいたい」と話していた。
26日まで。(山根由起子)