米検索最大手グーグルの親会社アルファベットと、欧米に拠点を置く自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は3日、自動運転車の技術開発で提携したと発表した。グーグルが自動車メーカーと自動運転の技術で提携するのは初めて。自動運転車の実用化に近づく一歩になりそうだ。
発表によると、FCAが今年初めに発表したクライスラーのミニバンのハイブリッド車「2017 パシフィカ」を、グーグル向けの特別仕様にして約100台つくる。これにグーグルが開発している自動運転のセンサーやソフトを搭載して、自動運転車を共同開発する。「両社の技術者が米ミシガン州の拠点に集まり、それぞれの専門技術をもとに開発を加速させる」としており、今年末までに実際の道路で走らせる予定だという。
グーグルはすでに、トヨタ自動車の高級車レクサスと、自社で開発した車両の計約60台を使って自動運転の試験走行を進めており、自動運転の走行実績は今年4月末時点で約240万キロ以上におよぶ。今回の提携で試験走行用の車両を2倍以上に増やし、量産に向けた開発を一気に加速させることを狙う。
グーグルは自社で自動車を生産する考えはないとしており、生産を担う自動車メーカーとの提携を模索してきた。今回の提携内容に自動運転車の量産化は含まれていないが、今後、生産面の提携に発展するかどうか注目される。米メディアによると、今回の提携は、互いに他社との提携を縛るものではなく、グーグルは他の自動車メーカーとの提携も模索しているという。(サンフランシスコ=宮地ゆう)