インディアナ州サウスベンドで2日、演説するトランプ氏=AP
米大統領選で、実業家のドナルド・トランプ氏(69)が共和党の候補者指名獲得を確実にした。これまでに公職に就いたこともない「政治の素人」は過激な発言が批判を受けながらも、その内容がかえって支持を呼んだ。
特集:米大統領選2016
トランプ氏は1946年、ニューヨークのクイーンズ地区で生まれ、大学を卒業後に不動産開発業者だった父親の元で働き始めた。だが、低中所得者向けの住宅を中心に手がけた父親と異なり、トランプ氏は高層ビルや豪華なホテルに力を注いだ。
70年代にはマンハッタン地区のホテルの再開発などで注目を集め、80年代に入ってからは高級ブティックやオフィスが並ぶ5番街に「トランプ・タワー」を建設。外観は総ガラス張りで、ロビーの中を滝が流れるタワーはトランプ氏が好む豪華なビルの典型で、現在も自宅がある拠点だ。68階建てとされているが、米メディアによると実際には58階建て。トランプ氏も2003年、他の物件を含めて階数を水増ししていることをニューヨーク・タイムズに認めた。
80年代後半にはニュージャージー州のカジノも買収して大型のリゾート開発を試みたが、資金繰りが困難になってカジノは倒産し、やがて撤退した。トランプ氏の関連企業はこの時を含めて計4回倒産しているが、本人は「法律の仕組みを有利に利用しただけ」と主張している。
00年代以降はゴルフ場開発や「トランプ・ブランド」の展開を重視。出演者がトランプ氏の企業での幹部起用を目指して競い合うテレビ番組「アプレンティス(見習い)」も04年から放送され、「おまえはクビだ」というセリフが流行した。派手な女性関係も有名で、2回の離婚も米メディアをにぎわせた。