見舞いに訪れたひ孫らと話をする玉岡さん(左)=1日、熊本市東区
2度の激震に見舞われた熊本県益城町の玉岡ヒロ子さん(92)は20年にわたり、近所の観音堂の清掃を続けてきた。自宅は全壊したが、地震の10日ほど前、清掃中に転んで入院していたため、難を逃れた。「お観音さんに守ってもらったとです」。そう振り返る。
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玉岡さんは同町惣領で長男家族4人と暮らしていた。4月2日。観音堂で草むしりをしていた時に転んで、左ひざの骨にひびが入った。熊本市東区の病院に入院。4月14日の「前震」で木造2階建ての自宅は全壊し、1階の玉岡さんの部屋は屋根や柱に押しつぶされたが、玉岡さんは入院中で、事なきを得た。
益城町で生まれ育った。19歳で夫の晧さんとお見合い結婚。それ以来、地震で壊れた家で暮らし続けた。農業を営み、3人の子どもに恵まれた。
20年前に晧さんが亡くなった頃から、自宅から200メートルほど離れた観音堂に通い始めた。朝8時ごろに家を出て、観音像の前に置いたコップの水を替え、2~3日おきに新しい花を供えた。伸びた雑草はきれいにした。帰宅は決まって昼前。雨の日も冷え込む日も、手押し車で往復した。