9日、離任会見を開く木寺昌人・駐中国大使=北京の日本大使館、古谷浩一撮影
木寺昌人・駐中国大使は9日、翌10日の離任を前に北京で記者会見を開いた。日中関係が国交正常化以来、最悪の状態と言われた2012年末に着任したことを振り返りつつ、「日中関係は幅広く、かつ深い関係になっており、簡単に壊れるものではない」と確信したと語った。
木寺氏が13年1年間で中国外務省に抗議などで呼び出されたのは計10回。中国の閣僚らとの面会はかなわなかったという。
その後、政治関係が悪化しても、日中協力の様々な関係は中国各地に広がっており、中国側にも「このままではよくない」との姿勢が出てきたと強調。関係改善は今後も容易ではないと認めつつも、「大きくなって、10年前、20年前とは違う中国と、新しい日中関係を構築していかなければならない」と訴えた。
また、中国の対外姿勢に対する国際社会の懸念について、「(中国自身が)心配を払拭(ふっしょく)してくれることが大事だ」としつつ、そのためにも「深い対話をしていく必要がある」と強調した。木寺氏は帰国後、駐フランス大使への転出が決まっている。(北京=古谷浩一)