新薬の発売後に安全性などを再審査する国の制度で、投与実績など本来は医師が書くべき調査票の項目を、製薬会社「帝人ファーマ」(東京都)の営業担当者が「代筆」していたことが同社と厚生労働省への取材でわかった。厚労省は「信頼性を揺るがす行為で不適切だ」として、今年3月に再発防止策を提出させる行政指導をした。厚労省は安全性の問題は確認されていないとしている。
この薬は2007年発売の気管支ぜんそく治療薬「オルベスコ」。厚労省によると、昨年4月までの8年間の再審査期間に、投与量や副作用の有無などについて医療機関に記載してもらい、同社が国に提出することになっていた。しかし、提出された調査票の「医師の署名」欄の筆跡が同社の営業担当者の筆跡に似ていることを国側が昨年9月に見つけたという。
指摘を受けて同社が調べたところ、全国で集めた3747件の調査票のうち189件で、医師が書くべき項目を、営業担当者43人が医師らから聞き取って書き写すなどしていた。営業担当者は「不適切だとの認識はあったが医師が多忙で協力が得られなかった」などと話しているという。