特定の民族や人種を標的に差別をあおる「ヘイトスピーチ」の解消をめざす法案が12日、参院法務委員会で採決され、全会一致で可決された。13日の参院本会議で可決後、衆院に送られ今国会で成立する。
ヘイトスピーチについて法案は「在日外国人や子孫らに対する差別を助長、誘発する目的で、生命や身体に危害を加えると告知するか侮蔑するなど、地域社会からの排除を扇動する不当な差別的言動」と定義。国や自治体に対し、相談体制の整備や人権教育の充実などを求めた。罰則は設けていない。
昨年5月に野党側が「禁止法案」を提出。与党案が今年4月に出した「対策法案」は、ヘイトスピーチの対象を「適法に居住する在日外国人とその子孫」と定めた。このため、「アイヌ民族や難民認定申請者などへの差別が許されると解釈される恐れがある」との指摘が出ていた。
与野党の修正協議の結果、自公と民進が「法施行後も、差別に対する取り組みを実態を踏まえて検討していく」と付則に盛り込むことで合意。「法が定義する以外、いかなる差別的言動も許されるとの理解は誤り」とする付帯決議も12日に可決された。(藤原慎一、金子元希)