避難所に隣接するグラウンドで子どもたちとふれ合うJ2熊本の巻=5日、熊本県益城町
熊本地震の発生から1カ月。被災したスポーツ選手やチームは、またスポーツができるのか、不安や悩みを抱きながらボランティアや練習で汗を流している。地震の影響でリーグ戦5試合が中止となったサッカーJ2の熊本は15日、千葉市で公式戦の復帰第1戦に臨む。
J2熊本のFWで元日本代表の巻誠一郎(35)は12日、熊本市東区での全体練習を終えた後、「被害がひどい地域はまだまだ状況が変わってない」とやや視線を落とした。4月16日未明の本震は熊本県宇城市の実家で被災。妻と子供たちを大阪の妻の実家に送り出した。一方、自身は4日間ほどを車中泊で過ごした。「僕1人だと、どうにでもなるので」。食事はカップラーメンなどで満たした。
巻は程なくして、フェイスブックなどを使い、救援物資の提供を呼びかけた。知人らとともに福岡や熊本に物資の中継拠点を設け、時には自らハンドルを握り、避難所へ物資を届けた。「自宅を失った方から『ロアッソが励みになるから頑張って』と声をかけられた。僕らがやらなきゃいけないと思った」。延べ約50カ所の避難所を訪れた。サッカー教室も開き、子供たちも励ました。「僕は、熊本が地元の地元なんで」。そんな言葉で自身の思いを表現する。
J2熊本は地震後、全28選手のうち約10選手が車中泊を余儀なくされ、5月2日の全体練習再開後も、4人はホテル暮らしが続く。本拠「うまかな・よかなスタジアム」は救援物資の集積所として使われ、使用再開のめどは立っていない。