電気代ゼロ生活を続ける藤井智佳子さん。緊急時は自転車型トレーニングマシンを改造した「人力発電機」で電気をつくる=国立市
東京都国立市の都営住宅に住む織物・染色作家の藤井智佳子さん(55)が、電気代ゼロ生活を続けてもうすぐ4年になる。ベランダの太陽光パネルや、自転車型トレーニングマシンを改造した「人力発電機」で電気を自給自足。十分な電気は生み出せず、エアコンもテレビも冷蔵庫も使えないが、「工夫が楽しい」という。
藤井さんが、東京電力の工事担当者に「前例がない」と言われながらも自宅の電気メーターの配線を切り、東電との契約を解除したのは2012年9月。電力会社の送電網(グリッド)から完全に離れる「オフグリッド」生活と呼ばれる。東電広報部は「集計したことはないが、ほとんど聞いたことがない」とする。
きっかけは11年3月の東日本大震災に伴う計画停電だった。震災前はテレビを時計代わりにつけっぱなしにする生活だったが、アナログテレビがこの年7月のデジタル放送完全移行で使えなくなったのを機に買い替えないなど、使う家電を減らすうちに、ひと月の電気代が4千円台から2千円台に。さらに電力消費量が多い冷蔵庫の電源を抜くと、800円に。「いっそ電力会社に頼らず生きてみようと軽い気持ちでオフグリッドを始めました」